眠る花
夕方四時頃散歩に出た。以前も紹介した芙蓉の咲くあたりを歩きながら、花の様子を見たら、みんな閉じていた。閉じた姿もいい。何であれ、自然はいい。
世界は嘘ばかり、開いていても閉じているという。知っていても知らないという。大量殺戮をしていても、していないという。嘘つきが世界を支配している。
何でもいい、人間は人間として、偽りのない自然のままで生きていけばいいのにと思う。そう思う一方で、人間だからこそ、嘘つきなのかとも思う。
人間以外は自然のままだが、人間だけが嘘をついて、世界を支配しようとしているのだろうか。自然の世界に対して、人間であることが恥ずかしいような気分になる。
そんなことを思いながら、閉じた芙蓉の花を眺めていると、口をしっかりと結んで、眠っているかのようなピンク色の姿が、ひどく愛おしく思われてきた。