日々是好日 - Seize the Day

煩悩だらけで無力で、罪深い人間の戯言です。

黄葉と老化


 イチョウの木が少しずつ黄色くなってきている。イチョウの実は頭上にも路上にもある。そんな季節の到来だが、季節の移り変わりも、歳月の過ぎるのも早すぎるように思える。


 考えてみれば、紅葉とか黄葉は植物の老化だ。それを美しいとして鑑賞するのはおもしろいものだ。植物の老化を愛でて、人間の老化を厭うのも不思議だ。


 人の生も瞬く間に過ぎていく。年を取れば足が弱り、記憶力も弱る。ぼくの母は日々記憶と食欲を失いつつある。歩ける距離も減っている。何もかもが弱っている。


 ぼくは、毎日のように母に言っている。「少しでも元気でいたければ、よく食べて、よく寝て、よく歩くことだ。」そう言うよりほかないというのが現状だ。


 人は老いる一方だが、植物の紅葉や黄葉と同じように、人の老化にもどこか美しいところがあるはずだと思う。老化はただ醜いというものではない。


 そう思うと、母には、食事を喜んでもらい、いっしょにあちこちと歩いて、自然を楽しんでもらい、いつでも笑顔でいて欲しいと願っている。

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