歌舞伎と漫画!
今日、たまたまNHKの歌舞伎放送を見た。題目は「太刀盗人」というのだった。見ていて笑った、これが歌舞伎なのかと思った。調べてみたら、狂言から出たものだそうだ。確かに面白い。動きも軽妙だし、滑稽だ。
この歌舞伎を見ていて思った。かつて歌舞伎が流行し初めたころ、これは若者などが好んだものにちがいないと。当時、「かぶきもの」とは、辞書によれば、「並外れて華美な風体をしたり、異様な言動をしたりする者」とある。今で言えば、若者がハロウィンなどで奇妙な格好をしている若者のようなものだろう。あるいはアニメの扮装をして、町を歩くような若者だろう。
そのころ、大人たちはやきもきしたことだろう。こんなものに夢中になるなんてどうかしてると。それが時代を超えて、歌舞伎は日本の伝統芸能になっている。おかしなものでも長い時代続けば、何でも伝統になるものだ。今のコスプレもそのうち伝統になるのだろう。漫画も立派な日本文化になったように。
もう一つ思い出すのは、明治時代の小説だ。当時、小説が流行したが、それを少年たちが読んでいると大人たちに怒られた。「小説なんか読む暇があったら勉強しろ」と。流行し始めた当時は不良のものだったのだ。それが今ではノーベル賞ももらえるかもしれない一分野なのだ。
現代はどうか。漫画が教科書に登場するようになった。漫画も日本文化というだけでなく、学問の一つになったように思われる。これなら、漫画が学校の教材になるだろう。いやもうなっているのかもしれない。夏目漱石の孫が大学で漫画を研究していると聞いた。すでに漫画はかつての子供社会だけでなく、世界で市民権を得ている。
近い将来、「漫画をちゃんと勉強しなさい」という大人が現れるに違いない。漫画もわからない者は無知に等しい時代が来るにちがいない。もしも漫画なんて嫌いだと子供がいたら母親が言うだろう。
「あなた!ちゃんと漫画を読みなさい!3Dなんて見ていたら馬鹿になるわよ。ちゃんと漫画を読んで、しっかり勉強するのよ。漫画が読めなきゃ、東大も無理よ。」
そんな時代がそう遠くないような気がしてきた。読者のみなさんはこんな未来予想、どう思うだろうか?