日々是好日

煩悩だらけで無力で、罪深い人間の戯言です。

じいさんばあさん!

 今日は夫婦の日だけど、最近、夫婦のいい話を聞かないなと思うと、ふと思い出すのは森鴎外の「じいさんばあさん」だ。
 美濃部伊織という武士とその妻るいの生涯を描いた短編であるが、実に短い。その夫婦となったものの、夫伊織が誤って人を死なせたことで、流され、その後、妻はずっと武家奉公をして暮らし、隠居してからは美濃部家の墓に香華を絶やさず、そのうち、夫は許され、江戸にもどる。そして妻るんも江戸へ出る。じいさんとばあさんとなった二人は37年ぶりに出会い、ともに仲良く暮らすという話だ。


この翁媼(おうおん)二人の中の好いことは無類である。近所のものは、若(もし)あれが若い男女であったら、どうも平気で見ていることが出来まいなどと云った。中には、あれは夫婦ではあるまい、兄妹(きょうだい)だろうと云うものもあった。その理由とする所を聞けば、あの二人は隔てのない中(うち)に礼儀があって、夫婦にしては、少し遠慮をし過ぎているようだと云うのであった。

 こんなじいさんばあさんの夫婦に出会えたらいいな。いや自分がそうなったらいいなと思いながら、読み直してみた。

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