死は!
死は哲学に真の霊感を与える守護神であり、その美の神である。(ショーペンハウエル)
かつて、死を夢想したことがある。親友と自殺を図ったが、母に救い出された。親友は一人で縊死した。以来ぼくは彼の命も生きている。ただ、死を思いながら、生きている。
冬を思いながら、夏を過ごし、夏を思いながら、冬を過ごす。夜を思いながら、昼を生き、昼を思いながら、夜を過ごす。雨の日を思いながら、晴れの日を過ごし、晴れの日を思いながら、雨の日を過ごしている。
裏があるから、表があるのであり、表があるから、裏があるように、寒い日があるから暑い日があり、暑い日があるから寒い日がある。
暗い人生があるから、明るい人生があり、明るい人生があるから、暗い人生がある。苦があるから、楽があり、楽があるから、苦がある。
死があるから生があり、生があるから死がある。僕は死を思いながら、生きている。