七月の花(3)木槿
用事があって、久しぶりにバスに乗って町に出た。バス停まで行く道ばたで、毎年見かける木槿が目一杯花を広げていた。紫がかった白い花、中央には赤い色、突き出した花蕊、何とも美しく、艶やかな姿だ。
中の一輪に蜜を吸っているらしい虫のようなものが見えた。少し花びらを揺すってみたが、そいつは動かない。もう一度揺すると、少し動いた。生きている。ただ、いつまで経っても同じ姿勢だ
これをじっと見ているぼくは暇人だ。だが、今だからできる行為かもしれない。バスが来るまで5分か6分はある。しばらく見つめていた。やっぱり動かない。
結局、どうなっているのかわからないままバス停に向かった。この虫が何であって、何をしていたのかよくわからないが、もしかしたら、蜜を吸いながら寝てしまったのしれない。