夜上野
年の暮れようとする時期、アメ横は買い物客で賑わう。日も暮れるころ、友人と二人、アメ横周辺をぶらぶら歩き回って、生ビール一杯199円という看板が目に入り、ふらりと店に入った。
ビルの6階から、暗くなっていく上野駅あたりを眺める。いそいそと横断歩道を歩く人たちを見ていると、みんなが二次元世界にいるように見える。
隣で忘年会をしているらしい団体の酔客たちが馬鹿騒ぎしている。ぼくも若いころ、こんなふうに騒いでいたのを思い出す。
この夜は、ぼくたちも忘年会ではあるが、喧騒をよそに、二人だけでしみじみと話しながら、ゆったりとした気分で酒を味わう。