月やあらぬ
2月23日(旧暦睦月二十日)の夜、東の空に昇った月!
月やあらぬ 春や昔の 春ならぬ
我が身ひとつは もとの身にして
(古今集 恋・七四七/在原業平)
[この月は以前と同じ月ではないのか、春は昔の春と同じではないのか、私は昔のままであるのに、月や春は昔とは違っているように感じられることだよ。]
ぼく自身はと言うと、身も心も環境も変わってしまった。それに対して、月は昔と変わらないように思う。春は異常気象のせいか多少は違うだろうが、梅の花は昔と変わらず、美しく咲いて、春らしい季節を迎えている。
ところが、月を見ながら、かつて付き合った女性たちのことなどを思いだしていると、そうでもない。境遇・状況などが変われば、月も春も違って見えるということか。
ぼくは、かつて思った人のことを今も変わらずに思っている。この思いは変わらない。それなのに、取り囲む状況が変わってしまった。そのため、月も春も変わってしまったように思われる。