漱石「満漢ところどころ」
夏目漱石の作品に『満漢ところどころ』というのがある。
その一節に「そうとは知らずに、食堂に這入って飯を食っていると、突然この顔に出食わして一驚を喫した」とある。
最近中国語を勉強していておやっと思った。「吃了一惊(chi1leyi1jing1)」というのがあるのだ。意味は「びっくりした」というものだ。「了」はこの場合、過去を表す。この簡体字を日本の漢字に戻すと、「喫了一驚」なのだ。そうか、明治時代には中国語と共通のことばがあるんだ。他にもあるだろうかと探した。「吃驚(chi1jing1)」(原文のまま)というのもあった。「びっくり」とふりがながつけてある。これは中国語では「吃惊」となり、意味は「びっくりする」だ。
同じ作品の中に出て来る「投宿」。これは今も辞書にあるが、使われることは少なくなった。中国語でも「投宿(tou2su4)」だ。
これと同じように今日本ではあまり使わないが、夏目漱石の『満漢ところどころ』に出てくる言葉で中国語でも同じ漢字を使うものを探してみた。それが以下の言葉だ。日本語の読み方と中国語の読み方がわかるだろうか。
①赤裸、②轨道、③内地、④外地、⑤加法、⑥减法、⑦除法、⑧乘法、⑨大概、⑩飘轻
⑪玩具、⑫判然、⑬踌躇、⑭无益、⑮有为、⑯烟管、⑰好事、⑱多魔、⑲晚餐、⑳晚饭
㉑完成、㉒豌豆、㉓了解、㉔真率、㉕始终、㉖真帅、㉗喝彩、㉗吨、