小田原行(1)
久しぶりに晴れた春の午後、久しぶりに母といっしょに小田原へ行った。
天気がよければ、小田急線新松田駅あたりで、西側に富士山が見える。新松田駅を過ぎたところで、ドアの前に立って、カメラを構えた。
広々とした田畑、光る川、森と連なる山々、そうした田園風景の向こうに、雄大な白い富士山が見えた。これは何にも代えがたい光景だ。
ようやく着いた小田原駅、数年前には何度も来ているのだが、母は何も覚えていないと言う。前からある二宮金次郎の像も覚えていないと言う。
だが、以前来た時にはなかったような建物、近ごろリニューアルされたらしい江戸情緒たっぷりの建物には、見覚えがあると言う。奇妙なことだ。