2月の月
二月の満月には美しい名前がついているらしい。
ピンクムーンと、どこかで聞いたように思うが、
これは四月の月のことらしい。
では、2月はというと、スノームーンらしい。
どんな名前であれ、ぼくの目には薄青い空に、
ぽっかり空いた白い穴にしか見えなかった。
それでも、満月は美しい。
千年前、歌人の見た月と同じ月、
遠くに住む人も見ている同じ月、
ぼくにとって、月はタイムマシンのようだ。
ぼくにとって、月はどこでもドアだ。
ぼくにとって、月は希望の象徴だ。
特に、この寒々しい二月の満月は希望の月だ。
しばらくして、月は雲に入りそうになった。
よく見ると、月はオレンジ色に輝き始めた。