日々是好日 - Seize the Day

煩悩だらけで無力で、罪深い人間の戯言です。

漱石忌-行雲流水

 今日は漱石忌だったんだということを留学生から言われてはじめて気づいた。亡くなって103年になる。

 「吾輩は猫である」「坊っちゃん」「こゝろ」「三四郎」「それから」「門」などもう一度読み返したくなった。

 「吾輩は猫である」の中にこんな一節がある。

「この間ある文学雑誌を見たら苦沙弥君の評が出ていましたよ」「ほんとに?」と細君は向き直る。主人の評判が気にかかるのは、やはり夫婦と見える。「何とかいてあったんです」「なあに二三行ばかりですがね。苦沙弥君の文は行雲流水のごとしとありましたよ」細君は少しにこにこして「それぎりですか」「その次にね――出ずるかと思えば忽ち消え、逝いては長えに帰るを忘るとありましたよ」細君は妙な顔をして「賞めたんでしょうか」と心元ない調子である。 


 「行雲流水(こううんりゅうすい)」、辞書には「空を行く雲と流れる水。物事に執着せず、淡々として自然の成り行きに任せて行動することのたとえ」とある。そんなふうに生きていけたらいいのにと思う。


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