甘いもの
ぼくは大学に入るまで完全な甘党だった。まんじゅうが好きで、酒は一滴も飲めなかった。
大学で運動部に入ってから少しずつ変わっていった。先輩たちから「俺の酒が飲めないというのか」と無理矢理飲まされることがたび重なり、次第に鍛えられていった。教員になってからも同じだった。今なら、「パワハラ」だ。だが、当時はそんなのが当たり前だった。ぼくの場合、酒で殺されてはかなわないと練習をすることにした。そして、ついに、甘いものを食べながら酒が飲めるという特技まで身に着けた。
しかし、三十歳のころ、食べ過ぎ飲みすぎがたたって、ひどく太ってしまった。そして、太りすぎていることを忘れてランニングをしていたら、膝を悪くしてしまった。それで、それからは、甘いものを極力控えるようになり、そのうち全く口にしなくなった。特に高くて、甘くて、おいしいものなど食べたいとも思わなくなった。全く興味がない。ほぼ辛党に変わってしまった。
それでも、最近、同居するようになった母がどちらかと言えば甘党なので、時々、母の喜ぶ顔が見たくて、ケーキなどを買ってきていっしょに食べたりするようになった。ただ、母もぼくも貧乏性なので、高くて美味しいものより安くてまあまあのものが好きだ。
上の写真は昨日、スーパーで見つけた「あんみつ」、128円。母が喜んで食べてくれた。