「無知による思い込みが偏見を生み、人間の持つ煩悩が憎悪を生む。」

　まさにトランプは無知による思い込みをもとに、ツイッターで差別的発言を繰り返しています。イスラム圏、及び、中南米からの移民をみな犯罪者であるかのように見做しています。アメリカの発展に寄与した人もいるのに、それを知らないだけです。

　確かに不法な移民もいますが、正規の移民も含めて彼らを一括りにし、憎悪するトランプ大統領とその支援者たちは間違いなく「無知による思い込み」にとらわれています。

　ぼくらはこうした「無知による偏見」を捨てなければなりません。例えば、「ハンセン病患者」は感染しないということを知らないことによって、隔離されました。悲しい歴史です。またエイズ患者もそうです。無知が生んだ偏見で多くの人が苦しめられました。

　実は、ぼく自身、親から与えられた韓国、朝鮮への偏見をそのまま信じていました。そして、今も韓国・朝鮮に対する偏見は消えていません。三つ子の魂何とかいう言葉通りです。ぼくの中で韓国・朝鮮に対する偏見をなくすことは乗り越えなければならない一つの壁です。
　
　だが、それを邪魔するのが「慰安婦問題」です。また、韓国人の９０％が日本人を嫌っているということです。韓国では学校で歴史を教える際に竹島や慰安婦のことを教え、日本人は憎むべき隣国だと教えていると聞きます。憎しみを助長するような教育をしている国はどうしても好きになれません。

　それでも、思うことは国家は確かに間違ったことをしているかもしれないけど、一人ひとりと会ってみると、彼らは決して悪い人たちではない。一人ひとりと会って話してみれば、要するに、いい人もいれば、悪い人もいるというに過ぎないということです。

　中国では日中戦争の映画やドラマがたくさん放送されていて、その中で、日本人は悪い奴ら、憎むべき奴らだと描かれています。ある中国人学生が言いました。ドラマを見て育って、日本人は本当に悪い奴らだと思っていたけど、実際に会ってみたら、いい人ばかりだったと。本当は悪い人もいるけど、たまたまいい人が多かったということでしょう。

　何々の出身者だから、どういう人だと決めてかかるのは危険です。どこにだっていい人もいれば悪い人もいるのです。ぼくは「一括りにする危険性」をまず認識してほしいと留学生たちには教えています。自分自身もそういう危険性をいつも感じています。しかし、家庭教育や学校教育で植え付けられてしまっているものはなかなか消せないのも事実です。ともかく、ぼくたちがやらなければならないことは教育においてステレオタイプによる偏見をなくす努力だと思います。