交通事故死者数激減!
自動車が普及した1970年ごろ、交通事故死者数は最大で、1万5千人ぐらいだったという。それが、1990年ごろには1万人に減った。そして、2016年にはおよそ4分の1の3904人になったそうだ。一番多いのは愛知県の212人、少ないのは鳥取県の17人だという。またその54.8%は65歳以上だそうだ。
交通事故死者数で思い起こすことがある。確か、1990年代初めごろだったと思う。五木寛之氏の講演を聞きに行った時、交通事故死者数はどのくらいあるかというと1万人、自殺者数はその3倍なんだと言われて驚いた記憶がある。当時1万人という交通事故死者数にも驚いたがが、自殺者数3万人というのにも、また、交通事故死者数より自殺者数がこんなにも多いのかということに驚いた。
それからおよそ四半世紀が過ぎた今、交通事故死者数は4000人足らずなのに対して、自殺者数は2万4千人ぐらいだという。どちらも減ったことは歓迎すべきだが、今や3倍ではなく、何と6倍になっている。自殺者数は相変わらず高いといえないだろうか。最近では高齢者が生活苦から悲観して自殺したとか、中学生がいじめを苦にして自殺したとか、20代の女性が残業による過労で自殺したとかいう話をよく聞く。
自殺の原因を調べたら、健康問題、生活・経済問題・家族問題などがあるらしい。やはり経済の問題などは景気と重なる部分が多いだろう。それ以外の健康問題や家族問題となると、そこにあるのは時代の変化が関係しているような気がする。
思えば、ぼくの親友には二人の自殺者がいる。一人は進学の悩みから、一人は家庭問題から自殺したと聞いている。家族問題には家族の在り方が変化してきたことも、大きな関係があるだろう。進学の悩みと言えば、競争原理による受験戦争がもたらしたもの、あるいは、何か戦後の日本が歩んできた歴史の中に何らかの間違いがあったのではないかと思われてしかたない。
何が幸せなのかと考えさせられる。功利主義的な考え方とは違う何か大事なものが失われてきた歴史があるのではないか。そう思われてならない。家族問題や健康問題は地域の福祉活動なども関係する。これから、交通事故死者数を激減させたように、自殺者数を減らすこともみんなで考えなければならないだろう。