母はサスペンスドラマが大好きだ。
いっしょに見ながら、ワンパターンだなといつも思う。
それがいいのだろうが、あまりに意外性がなさすぎて、時々嫌気がさす。
ちょっと見ただけで、ストーリーも予想できるし、犯人もすぐわかる。

西村京太郎のドラマはかなりひどい。
同じ会話をしつこいくらい繰り返してくれる。
多少、ぼんやりしていても、よくわかる。
あまりの単純さに少しあきれるが、母はこれが大好きだ。

「あなたは何月何日にどこどこにいましたね。」
「はい、わたしは何月何日にどこどこにいました。」
「じゃあ、あなたは何月何日にどこどこにいたんですね。」
「はい、わたしは何月何日にどこどこにいました。」

小説を読んだら、日常会話ではありえないほどしつこい会話だ。
日本のドラマはほとんどがそうだが、ワンパターンで分かりやすいものが多い。
最近は複雑なドラマも増えているが、母は見ようとしない。
年老いた母は展開が単純なドラマが大好きだ。

子供が小さい時は子供といっしょにアニメを見ていた。
感動的なドラマよりわかりやすいドラマやアニメのほうが視聴率が高い。
複雑なドラマ、難解なものは嫌われるようだ。
テレビは娯楽なのだから、それでいいのだろうが、少し物足りない。