日々是好日 - Seize the Day

煩悩だらけで無力で、罪深い人間の戯言です。

ノック

 13日の朝、ゴンという音がして、ハッとして、目が覚める。母が倒れたのではないかと思いながらも、眠くて、ぼうっとしていたら、また、「ゴン」と音がする。

 しばらくして、三度目の音がする。仕方なく、起き上がって、部屋の外に出て見たが、母誰はいない。もしかしたら、自分の頭の中だけで、音がするのかも知れないと思いながら、また、布団に入る。

 すると、4度目の「ゴン」が聞こえた。さっと身を起こして、音が聞こえる方角をじっと見ていたら、音の正体がわかった。

 驚いたことに、ベランダに出るガラス戸に真っ黒なカラスが、「ゴン」と音を立てて、ぶつかってきたのだ。

 ガラス戸に近づいていくと、カラスは飛び去った。まるで、早く起きろと催促しているかのようだった。

 ベランダに出てみると、カラスの糞がべったりと付着している。外は雨、雨が洗い流してくれるだろうとは思ったが、風呂場から、バケツに水を汲んできて、さっと流した。

 外の大きな欅の木を見ると、雌が巣を温めている。雄はあたりを飛び回っている。もうすぐ、赤ちゃんが生まれるのかもしれない。それを知らせに来たのかと思ったが、卵は20日くらい暖めると聞いたことがある。だとすると、まだ10日以上は先だろう。

 そんなことを思いながら、カラスのことを調べてみた。すると、カラスには縄張りがあり、特に子育て中は近づく者に対して威嚇するという。朝の「ゴン」というノックは威嚇だったのかもしれない。


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