都鳥
名にし負はばいざ言問はむ都鳥
わが思ふ人はありやなしやと
伊勢物語の「東下り」と古今集にある在原業平(825〜880年)の歌だ。
上野の不忍池で見た「ユリカモメ」の別名は「都鳥」だ。
上の和歌は在原業平が東国に移動中、隅田川で見た鳥の名を「都鳥」だと聞いて、作ったものだという。
名前に「都」とあるなら、都(京都)のことを知っているだろう。だから、さあ尋ねよう。京の都にいる私の恋しく思う人は無事であるかどうかと。
この「言問はむ」から、江戸時代末期に向島に「言問団子(ことといだんご)」の店ができて、今も営業しているようだ。
詳しいことはよくわからないが、それが由来となって、関東大震災のあと、浅草から向島にかけられた橋が「言問橋」。
そして、この「言問橋」から、山手線、常磐線、京浜東北線の鶯谷駅の北に架かる跨線橋である「寛永寺橋」までの通りを「言問通り」という。