坊主憎ければ袈裟まで憎い
菅野投手がメジャーリーグを目指すというニュースで思い出したことがある。今は亡き義理の父のことだ。彼はアンチジャイアンツだった。いつも、ジャイアンツが負けるのを楽しみに、テレビを見ていた。負けたら、「おい、ジャイアンツが負けたぞ!」とニコニコしながら、ぼくに報告してくる。ぼくもあまりジャイアンツが好きじゃないので、「よかったですね!」と答えていた。
今年はジャイアンツが強かった。今も生きていたら、きっと、「面白くない」と言って、テレビも見なくなったに違いない。日本シリーズはジャイアンツとソフトバンクだったが、もしかしたら、大喜びで見たかもしれない。なぜなら、ソフトバンクもジャイアンツと同じくらいに嫌いだったからだ。どっちが負けても、喜んだだろう。
義父が嫌いなのはジャイアンツという球団だったが、所属する選手も大嫌いだった。例えば、広島の丸選手は好きだが、ジャイアンツの丸選手は嫌いというようなものだ。ライオンズの元選手、清原氏も同じだ。ライオンズの彼は好きだったが、ジャイアンツの彼は嫌いだった。
さて、冒頭の話題だが、菅野投手と言えば、わがまま言ってジャイアンツに入った選手だ。義父はそういう選手がいちばん嫌いだった。その選手がメジャーに行くという。行けば、義父は彼を嫌好きになるかも知れない。結局、「坊主憎ければ袈裟まで憎い」ということだ。ほぼ偏見だ。ある国が嫌いなら、その国のすべての人が嫌いになるようなものだ。ただ、スポーツの話だから、許してもらいたい。