日々是好日

煩悩だらけで無力で、罪深い人間の戯言です。

若山牧水の短歌と上田敏の「山のあなた」



 宮崎生まれの若山牧水。
 宮崎にある記念館で見た彼の素朴な顔は心に深く残って消えない。
 彼の短歌には人生を考えさせるものが多い。


 

白鳥はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ


 はなさんのブログに載せられてあった白鳥の写真を拝見して、いろいろなことが思い出された。かつて勤めていたところで、右寄りと左寄りの人たちがいて、どちらからも勧誘されたが、ぼくはどちらにも入らないと拒否し続けたことを思い出す。
 だが、この短歌はぼくのような凡人の思いとは違ってもっと深い思いがあるのだろうと思う。白鳥が青い空にも青い海にも染まらずに泳ぐように、孤独を生きる牧水の自画像だったのだろう。 
 

幾山河越え去りゆかば寂しさの耐えなむ国ぞ今日も旅行く


 どれだけの山や川を越えていけば、寂しさのない国にたどり着くのかと思いつつ、今日も人生という旅を続けているという。ぼく自身、今も寂しさを感じている。ぼくは今の世の中にどうしてもなじめない。いつも、世界との乖離を感じ続けながら、日々を生きている。そして、ふと思うのは「山のあなたの空遠く幸い住むと人のいふ」。どこまで行っても、不可解な人生の意味と、尽きない寂しさだ。


「山のあなた」 カールブッセ/上田敏訳


山のあなたの空遠く

「幸(さいはひ)」住むと人のいふ。


噫(ああ)、われひとゝ尋(と)めゆきて、

涙さしぐみ、かへりきぬ。

山のあなたになほ遠く

「幸(さいはひ)」住むと人のいふ。


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