日々是好日 - Seize the Day

煩悩だらけで無力で、罪深い人間の戯言です。

台風の思い出!

 このところ台風がよく来る。先週月曜日は、台風9号が関東地方へ来た。今度は10号が明日には関東に接近、初めて東北の海岸に上陸するとか聞いている。


 台風と言えば、小さいころは、父が窓ガラスに板を打ち付けて、蝋燭を用意していたのを覚えている。ただ、恐ろしいというより、何が起こるのだろうかという期待と不安の入り交じったような気持だった。実際に停電になって、蝋燭を使ったこともあるが、それは神秘的な気分を味わったに過ぎなかった。


 よその土地での台風被害を聞くたびに、ああ、天災は恐ろしいと思いつつも、どこかで他人事だと思っていたと思う。台風の恐怖が自分の身近に迫ってきて本当に恐怖を感じたことはあまりない。ただ、少し怖かった、あるいは驚かされた思い出は数回ある。


 一度目は高校時代のことだ。高校時代は、台風が来ても、大雪になっても学校は休みにならなかったし、私自身休まなかった。3年間、何があっても休まなかった。それがある年の秋だったと思うが、授業中、台風が来ているので、急いで下校してくださいというような校内放送があった。


 それから、みな急いで下校した。わたしはバスに乗って、田園の広がる我が家へ向かう。すると、家のすぐ前の川が氾濫していて、橋が冠水していた。それでもバスは橋を何とかして渡り、我が家の最寄りのバス停に止まった。そこから数百メートル歩いて、我が家へ向かう。すると、わたしの家の周りにある田んぼと通路が全部冠水していた。私の家は孤島のようになっていた。


 水の中をジャブジャブと歩いて、家へ帰りついた。急いで二階に上がり、窓から周囲を見回すと、我が家の周りはすべて水浸しだった。床上は大丈夫だったが、床下は浸水していた。本当に恐ろしいと感じた。これが台風の最初の恐ろしい思い出だ。


 二度目は大学生の時だ。下宿と言って、今のシェアハウスのようなアパートの2階に住んでいた。当時は貧しくて、テレビなどなかった。もちろんインターネットもい。そんな中、人間関係に疲れ、少し人間嫌いになって、引きこもりを始めた。ドアも窓も閉めて、窓の外には雨戸という名前の板戸もしめて、外部とのつながりを一切断っていた。真っ暗な中で数日間、生活したことが何回かあった。


 ある時、引きこもって数日が過ぎた時のことだ。少し気分もよくなり、窓を開け、雨戸も開けてみた。驚いたことに、開けた雨戸がどこかへ飛んで行ってしまった。土砂降りの雨が部屋の中に入り込んだ。急いで窓を閉めて、部屋が洪水になることはなかったが、あわてた。それから、ラジオをつけてみて知ったことだが、私の住んでいた地域に台風が迫っているという。台風のせいなんだ。情報のないことの恐ろしさと共に、台風の恐ろしさも少しは知った。後で雨戸を探しに行った時、友達に馬鹿にされたのは言うまでもない。
 
 ついでにもう一つ、台風の思い出。これは恐ろしいというより、驚いた体験だ。大学時代サッカーをしていた。台風が来ても大雪が降っても試合をするのがサッカーだ。雪の中から足でボールをえぐり出して、蹴ったこともある。ただ、わたしのポジションはGKであることが多かった。ある日、台風が来ると知っていながら、試合をした。わたしは敵のシュートしたボールをキャッチして、相手ゴールに向かって蹴り上げた。ところが、ボールは上空で突然Uターンして私の守るゴールに突き刺さった。これには驚かされた。台風の日にサッカーなんてやるもんじゃないと思った。

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