なぜ戦争はなくならないのか?
以前、中国人学生が言ったことがある。小さいころから日中戦争のドラマを見てきて、その中で、日本人は本当に鬼だと思ったそうだ。それが実際の日本人と出会い、気持ちが変わり、日本語を習うようになったというのだ。
実は私も中国にいてそのドラマを見た。まさに鬼だと思ったし、憎い鬼、化け物だ。実際の日本人に会ったことのない人は「日本人は鬼だ」と思うだろう。ドラマの影響は大きい。小さいころアメリカの作った、ドイツとの戦争ドラマを見て、ドイツ人が嫌いになった。だが、サッカーでドイツが活躍するのを見てから変わった。そして、大学でドイツ語を習った。
テレビの影響、教育の影響は大きい。韓国では小さいころから、歴史教科書でナショナリズムを持たせ、日本を憎むように教育していると聞いたことがある。本当だろうか。戦時中、日本の学校はアメリカ人やイギリス人を鬼であるかのように教育した。本当にそうだと思った人も多かっただろう。テレビ、新聞などの報道も嘘ばかり伝えた。
テレビを含めた報道、それに家庭教育も含めた教育などが、人々に偏見を埋め込む。そして、戦争へ向かうことが多い。アメリカが参加した戦争、朝鮮戦争、ベトナム戦争、中東戦争なども、すべてアメリカが正義だと思う人が多いが本当だろうか。
戦時中の日本人は日本こそ正義だと思っていた。本当のことを知らないことが国民を戦争に駆り立てた。偏見とは本当のことを知らないで、そうだと思い込んでしまうことだが、そうしたことはどこにでもある落とし穴だ。そういう落とし穴に陥らないためには、いつでも、自分の目で見たもの以外信じない精神が必要だ。そして、憎しみを決してもたないことだ。犯罪も憎しみや偏見から発声することが多い。
噂や報道、それに教育で植え付けられたものはほとんど信じてはいけない、本当のことを知れば、そうではないということは本当に多いのだ。そして、まず、憎悪を嫌い、平和を愛することが必要だ。戦争をしたがる人がいれば、反対の声をあげることだ。そうすれば喧嘩も戦争もなくなるだろう。
だが、何しろ、人間には百八の煩悩がある。その煩悩が自己愛、独占欲、憎悪などいろいろな悪感情を起こさせる。それらの煩悩から抜けられたら、せめて、国家指導者がそうしたものをなくそうと努めたら、戦争は少なるなるだろうが、そうはいかないのが人間だし、人間臭いということだから、戦争をなくすには人間であることを捨てなければならないのかもしれない。