「鬼」
71年前の今日は戦争に原爆が使われた最後の日だ。最初が8月6日の広島、最後が三日後の長崎。この原爆だけではない。横浜も東京もその他の大都市が空爆を受け、多くの市民が殺された。沖縄戦でも軍人ばかりではなく多くの市民が殺された。
そうしたすべての残虐極まりない行為は人間の行うことではない。人間であることを忘れた者たちの行為だ。戦争も殺人も非人間の行為だ。相模原で障害者が19人殺された事件も非人間の行為だ。
「鬼」ということばがあるが、「鬼」とはまさにそうした非人間のことだと思う。国家あるいは集団が「鬼」と化して戦う時、人間のルールは無視され、一人ひとりが鬼とならざるを得ない。「野火」という小説はその鬼と人間の狭間で苦しむ人の姿を描いたものだ。
きょう、核のない世界を祈る。そして、人間が人間であることを忘れないことを祈る。人間の根本は「不殺生」だ。生きるために動物を殺しても、この根底には感謝の心がある。それが「いただきます」という言葉だ。感謝の心で動物の命をいただくのだ。戦争も殺人も憎悪の心で行われる行為であり、それが「鬼」を生むのだ。