言葉の境界!
今日、仕事帰り、狭い歩道で、足がふらついた時、後ろを歩いていた人が、ぼくを避けて、追い抜いて行った。その際、「ふらふらすんじゃねえよ!」という声が聞こえた。少し気分を悪くしたのだが、声の主が女性だったのに、ふと、日本語の使い方の変化に興味を持った。こんなことばを女性が自然に使うはテレビの影響なのだろうか。
ふと思い出すことがある。以前、夕方、混雑する渋谷駅で、男女がすれ違いざま、肩と肩が触れ合った。その時、「どこ見て歩いてんだ!」と言ったのは女性の方だった。最近は女性っぽい言葉を使う男性も増えた。要するに、言葉に関しては、男女の境目が薄くなってきたということだろうか。
日本語を学ぶ外国人学生に、命令形と禁止形を教える時、男性は「来い」「来るな」と言い、女性は「来て」「来ないで」と言うのだと教える。ただ、その後、「最近のことばは、男性と女性の区別があまりなくなっている」と付け加える。
そう言えば、最近は大人と子供の境界線もぼんやりとしてきたように思う。今、テレビを見ていたら、14歳の中学生が将棋界で旋風を巻き起こしているが、インタビューを聞いていると、すごく大人っぽく感じる。そうかと思うと、30歳ぐらいのスポーツマンが「わたしのおとうさん、おかあさん」という。これは子供言葉だと教えているが、これからはそうでもなくなるのだろう。
小説を読む時、誰の言葉か示さなくても、会話の表現で、年齢と性別がある程度わかるものだと言われたが、今後はそうでもなくなることだろう。「そうなのよ」だけでは男性なのか女性なのかわからなくなるだろう。「わし」と言っても、もしかしたら女性かもしれないという時代が、そう遠くないような気がしている。