日々是好日 - Seize the Day

煩悩だらけで無力で、罪深い人間の戯言です。

千代の富士-遠ざかる昭和

 昭和の横綱と言って、思い浮かぶのは誰か。


 実際にテレビで見たことのない人も含めて挙げれば、双葉山、北の富士、大鵬、輪島、北の湖、若乃花、千代の富士だろう。平成に入ってからは、曙、貴乃花、武蔵丸、朝青龍、白鳳などだ。平成も20世紀に入ってからは日本出身の横綱はいない。


 さて、昭和最後の横綱千代の富士、引退してからは九重親方として、多くの力士を育てた。その親方が昨日亡くなった。


 十両時代、大きなお腹、大きな体の力士の中にあって、小柄でスマートでハンサムな力士の豪快な投げ技は目を引いた。


 その豪快さが災いして、何度も脱臼していた。その脱臼する肩を守るために彼は筋肉をさらに強化して、精悍な顔と筋肉隆々とした体つきはまさにあだ名された「ウルフ」そのものだった。


 わたし自身、小さいころから、太った人があまり好きではなかった。男たるもの、狼のようでなければならないと思っていた。だから、「ウルフ」と呼ばれた千代の富士を見て本当に相撲が好きになった。わたしだけではないだろう。多くの女性がこの人を見て相撲ファンになったようだ。



 平成の横綱貴乃花も太ってはいなかったし、ハンサムだということで、女性ファンを増やしたが、貴乃花には「ウルフ」というような印象はなかった。ただ、兄の若乃花との間でわざと負けたりするような場面が幾度もあり、何か八百長っぽいものを感じて、好きになれなかった。やはり大横綱という印象はない。


 今、横綱の中でも「大横綱」といえば、双葉山、大鵬、北の湖、千代の富士だろう。そして、現役では白鳳がその中に入るかもしれない。片手で数えられる横綱の一人、昭和の横綱が亡くなった。千代の富士の逝去に遠ざかる昭和を想う。


 謹んでご冥福を祈りたい。

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