天の道
連休の間に、老子に触れてみた。「上善如水」や「知足」で知られる老子であり、以前から好きだったが、今回、老子の「天の道」とは何かということを少し考えてみた。
あちこちのページをめくっているうちに、今の日本に必要だと思われる、以下の文を見つけた。
天之道猶張弓乎。高者抑之、下者挙之。有餘者損之、不足者補之。天之道損有餘而補不足。人之道則不然。損不足而奉有餘。夫執能有餘而以奉於天者。唯有道者乎。是以聖人為而不恃、功成而不処也。其不欲見賢也。(老子77章)
天の道というものは弓を張るようなものだ。高い場合は抑え、低い場合は上げる。余裕のある場合はこれを減らし、足りない場合はこれを補う。ところが、人の道はそうでもないのだ。足りない者をさらに損ない、余裕のある者にさらに補うのだ。余裕があって人に補うことができる者はただ道を知っている者だけだ。道を知っている聖人は何かを鼻にかけることもなく、功を成し遂げても、それにこだわらず、自分の賢さを見せびらかすこともない。
今、日本は貧富の差が広がっている。四季島とかいう豪華列車の予約が一年先まで埋まっているという。その一方で、スーパーに行けば、値段の安い品物だけが空っぽだ。余裕のあるものはさらに余裕を持ち、貧しいものはさらに貧しくなる社会だ。
老子の思想の国は中国であるが、中国ではますます貧富の差が広がっているという。隣国ではあるが、心配だ。習近平さんにも、安倍首相にも頑張ってほしい。「衣食足りて礼節を知る」ということを考えたら、貧富の差は犯罪の温床になりかねないと思うからだ。