東京はあまり住みたいと思わない街だが、歴史のある、美しくて、巨大な街だ。スカイツリーも東京タワーもみんな歴史の上に立っている。

　昨日、仕事帰りに、東京都庁に寄ってみた。展望室へ上るエレベーターは北塔と南塔と二つあるが、コロナ禍のせいか、上る人は少ないようで、南塔のエレベーターだけが動いていた。エレベーターの前で、警備の人に、鞄の中を開けて見せ、すぐに乗ることができた。

　展望室までは55秒で着く。上って見れば、以前来た時とすつかり変わっていた。コロナ禍前はいつ来ても、大勢の人で賑わっていた。日本人ばかりでなく、外国人が、特に中国人が多くて、あちこちから中国語が聞こえていた。東京タワーのミニチュアなどを売る店もあって、多くの人が物色していた。

　だが、この日の展望室に、土産物などを売る店はなく、その代わり、街角ピアノが設置されていた。人声はなく、ただ、ピアノの音だけが響いている。老若男女、いろいろな人が代わる代わる演奏していて、子供がショパンの曲だったと思うが、素晴らしい演奏をしてみせた時は、展望室にいるみんなが拍手を送っていた。

　眺めはどうかといえば、晴天だけど、西の空には、霞がかかっているようで、富士山ばかりか、大山も丹沢もまったく見えなかった。それでも、久しぶりに大きな東京を眺めることができた。