日々是好日 - Seize the Day

煩悩だらけで無力で、罪深い人間の戯言です。

イチハツ-散歩


 しばらく前に、断酒した。それ以来、深夜になってもなかなか寝られなくなった。仕方なく、起きて、写真の整理をしたり、ブログを読んだり書いたり、また、興味のあること、知りたいことを調べたり、整理したりしている。夜が明けるころから、数時間眠っただけで、9時か10時頃には起き出す。それからは、昼行灯で、何度もうたた寝している。


 起きてからはだいたい母と二人でテレビを見ている。二人でいっしょに何度も見ているドラマだが、母には、何度見ても新鮮なようだ。午後からは、できるだけ散歩に行くようにしている。歩くことは認知症にもよさそうだし、ぼくにとっても健康によさそうだ。


 散歩では、けっこう頭を使う。トイレが近い母のため、トイレの場所を常に考えて歩いている。ただ、最近はほとんど似たような場所を歩いているので、トイレの場所は頭に入っている。その他、買い物のことや母の喜ぶ自然の多い散歩コースなど、いろいろと頭を使いながら歩いている。


 ただ、二日か三日ぐらい前ぐらいに行った場所でも、母は「ひさしぶりに来た」とか、「初めて来た」とか言って、喜んでくれる。それはそれでいい。その後で思いだしてくれたら、ますますいいことだと思う。


 母は歩く速度がもうかなり遅くなっている。母に合わせて歩くのは少し難しいが、少し先を行って、それから、立ち止まって、待ちながら、花や鳥を眺めている。時にはグーグルレンズで名前を調べている。これはこれで楽しいものだ。


 昨日も、いつものコースを歩いた。母は、いっぱい咲いている「オオキンケイギク」を見て、「ほら、見て、きれい!」と言ってぼくを呼ぶ。そういう時は無邪気な母だ。だが、ちょっと不安な時もある。


 この日、途中で、「イチハツ」と名札のついた花を見付けた。この花はアヤメ科だが、紫の模様がとてもおもしろかった。ぼくは、その美しさに見とれ、写真を何枚か撮っていた。母はいつの間にかぼくを追い越して、ずいぶん先まで行っていた。


 追いついて見ると、ひどく不安そうな顔で「どこへ行ってたの?心配したじゃない!」と言う。「近くにいるよ!」と安心させようとするが、「一人じゃ家に帰れない」と不安なことを言う。家はすぐそばなのに一人じゃ帰れないと言われたら、此方が不安になる。また、ちょっと重荷に感じる時でもある。


×

非ログインユーザーとして返信する