日々是好日 - Seize the Day

煩悩だらけで無力で、罪深い人間の戯言です。

ポスト真実とフェイクニュース(1)

 英国のオクスフォード辞典が2016年のことばとして、「Post Truth(ポスト真実)」を選んだ。「ポスト真実」の「ポスト」とは「以後、後」という意味だ。「ポスト阿部」と言えば、安倍首相の後に首相になる人という意味だ。そして、「ポスト真実」はオクスフォードによると、「客観的な事実よりも感情的な訴えが政治的に影響を与えること」だそうだ。
 
 トランプ大統領が客観的な真実とは違うことを言って、国民に対して感情的に訴えた。真実は後回し、大事なことは感情に訴えること。そういう感覚でツィッターを使い、アメリカばかりでなく世界に衝撃を与えてきた。アメリカ日本政府がアメリカの自動車を日本国内に輸入させないようにしているとか、真実とは程遠いことを言って、日本に圧力をかけるようなことを言ったりするのはおかしいがそれがポスト真実なのだろう。


 さて、今年はどうかというと、「Fake News(フェイクニュース)」だ。今、アメリカではトランプ大統領と新聞各社が対立している。トランプ大統領はアメリカのニュース各社をフェイクニュースだと言い始めた。だが、アメリカ大統領選の時は、彼の側近がクリントン候補に関するフェイクニュースを流し続けた。今や、大統領とニュース各社とどちらを信じるかという話題も出ている。


 フェイクニュースの恐ろしいところは、それを大勢の人が見れば、それで広告料収入が入るから、フェイクニュースを流してぼろもうけした人もいるということだ。それと、もう一つ危険なのは、そのフェイクニュースが戦争を引き起こしかねないということだ。もしも、ある国が別の国にスパイを送り込み、最高権力者を暗殺しようとしているとかいうニュースを流したらどうなるだろうか。ぼくには具体的な国名を書くつもりはないが、あり得そうな国名を出したら、数人が信じるだろう。


 かつて、マーク・トウェインが、『嘘というものは、真実が靴を履いている間、地球を半周は旅することができる。』といったそうだ。今、有名人の誰かが結婚したとか、付き合っているとか、誰が何をしたとか、SNSによって、世界中にばらまかれる時代だ。嘘でも数人が信じれば、あっという間に広がる。真実が靴を履いている間に、嘘は半周するのではなく、靴を履こうとした瞬間、嘘は世界を一周する時代だ。


 嘘には気を付けなければならない。ネット上を「何々が健康にいい」とか、「何々が癌を防ぐ」とかいろいろなニュースが流れる。どれがフェイクであるのか見抜くのは難しい。政府も対策を考えているというが、あふれる情報に対して、ぼくらはまず疑うことをすべきだ。


 高校時代、先生が言った言葉を今も覚えている。先生の言葉を100%信じてはいけない。ニュースも全面的に信じてはいけないと。そうだ、何事に対しても、まず疑うことが大切だ。その気持さえあれば、騙されないと思う。

×

非ログインユーザーとして返信する