日々是好日 - Seize the Day

煩悩だらけで無力で、罪深い人間の戯言です。

気になる日本語(1)煮詰まる!

 最近、いろいろな人のブログを見ていて、「煮詰まって来たので、気晴らしに散歩に出た」というような表現を何回か見かけたが、これは、「行き詰まったので」の誤りだ。


 「煮詰まる」は本来、「煮えて水分がなくなる」ことで、料理などで、煮詰まってきたら、完成に近づいたことになる。そこから派生した意味が「討議、検討がなされて、結論が出る段階に近づく」という意味だ。


 明鏡国語辞典によると、「近年、『議論が行き詰まる』の意で使うのは俗用で、本来は誤り」と記されている。デジタル大辞泉では、「近頃では、『行き詰まる』の意味で使われることが多くなっている」と誤りも許容しているようだ。


 また、大辞泉には、文化庁が発表した平成19年度「国語に関する世論調査」の結果が示されていて、これによると、「計画が煮詰まった」を本来の意味である「結論の出る状態になること」で使う人が56.7%、「結論が出せない状態になること(行き詰まる)」の意味で使う人が37.3%だったそうだ。


 この調査から13年が経過した。調査も古いが、見ている辞書も古い。今は、後者のほうがもっと増えているに違いない。いや、すでに、逆転しているだろう。こんな言葉の例は他にもたくさんありそうだが、それが言葉だ。言葉は生き物だ。

×

非ログインユーザーとして返信する