気になる日本語(1)「受け身形」
ぼくはテレビのケーブルテレビなどを見ていて、ドラマの間に挟まれるCMが気になってしかたない。特に、その中で使われる日本語はその日本語の曖昧さを巧みに利用しているようで、何となくいやらしいと思われてならない。
いくつかのCMでは「~(例:膝の痛み)が改善されることが報告されています」と言っているのだが、明らかに自社のサプリメントを売るための嘘に思えてならないのだ。
受け身形はよく日本語学校で教えるが、その中に、主語を出さない受け身形の用法がある。例えば「このお寺は400年前に建てられました」とか、「2020年、東京でオリンピックが開かれます」などだ。これらは「誰が」がなくとも問題はない。
受け身の用法は非常に便利だ。だが、CMの「報告されています」を聞くと、「誰が報告したのか」が気になる。なぜなら、「建てられた」とは違って、主語が必要なのだ。CMは「誰が」を言わないのは、作為的に、日本語の曖昧さを悪用しているのだ。