五月の貴公子
今日はゴールデンウィーク明け、最初の出勤。
いつもの通り藤棚を眺めてから、バスに乗る。
公園の中は緑と白や黄色の草花が咲いている。
一年の中で五月はぼくのいちばん好きな時だ。
萩原朔太郎の詩「五月の貴公子」を思い出す。
五月の貴公子
若草の上をあるいてゐるとき、
わたしの靴は白い足あとをのこしてゆく、
ほそいすてつきの銀が草でみがかれ、
まるめてぬいだ手ぶくろが宙でおどつて居る、
ああすつぱりといつさいの憂愁をなげだして、
わたしは柔和の羊になりたい、
しつとりとした貴女のくびに手をかけて、
あたらしいあやめおしろいのにほひをかいで居たい、
若くさの上をあるいてゐるとき、
わたしは五月の貴公子である。