上善如水
『老子』に次の言葉がある。
「上善は水の如し。水は善く万物を利して争わず。衆人の悪む所に居る。
原文は「上善如水。水善利万物而不争、居衆人之所悪。」(老子第6)というもので、古い時代のことばだ。だが、今も変わらない奥深い意味があるなと思われる。
老子は言う。最も理想的な生き方は水のような生き方だ。水は万物に利益を与え、多くの人が嫌う低いところを流れているからだと。
確かに水は多くの人たちの役に立つ。そして、どんな形の器にも入る、どんな人とも争うことのない、謙虚な存在だ。
だが、ただ人に利し、謙虚なだけではない。どんなに謙虚でありながらも、常に強く太い芯を持って存在している。何千年もの間、変わることのない、最も価値あるもの、それが水だ。
ついでに言うと、この名前の日本酒がある。水のようであり、結構強い酒だ。「なんだ水みたいだ」と言いながら、数杯飲むと、立てなくなる。ただし、酒に弱いぼくの言うことだから、あてにはならない。強い人、好きな人は試してみてはどうか?