酷暑・極暑!
二十四節気で7月7日は小暑だった。小暑というのは、次の大暑までの期間についてもいう。例年だと、この小暑の期間に次第に暑さが増していき、大暑の日から次の立秋(8月7日)までの間に、暑さはピークを迎えることになる。だが、今年は季節の巡りが例年より早い。7月15日の今日、すでに、ひどい暑さだ。
最高気温が25度以上で夏日、30度以上で真夏日、35度以上で猛暑日というが、最近のニュースを見ると、「酷暑」ということばが目立つ。「酷暑」を辞書で調べると、酷(ひど)い暑さをいうそうだ。例文には「酷暑身を焼くばかり」とある。さらに、酷暑と並んで「極暑」ということばもある。意味は極(きわ)めて暑いこと。デジタル大辞泉の例文を見ると、「蓋あけし如く極暑の来りけり / 立子」という句がある。
立子というのは、誰かと思って調べると、客観写生、花鳥諷詠を唱えた高浜虚子の娘であり、その客観写生を実践した女流俳人星野立子(1903年11月15日 - 1984年3月3日)だ。虚子に勧められて、1930年、初めて女性による主宰誌『玉藻』を創刊した。彼女の句を見ると、けっこうおもしろい句がある。
雛飾りつゝふと命惜しきかな
50歳を目前にして詠んだ句だという。小さいころから習慣として毎年飾ってきた雛。それを飾りながら、ふと命の惜しいことを思ったということのようだ。その後、彼女は満80歳まで生きた。その80歳のひな祭りの日に立子は死去した。夏と言えば、彼女の句にはこんな句もある。
美しき緑走れり夏料理
鎌倉文学館の解説によれば、「日本中が食料不足に陥った戦時下の昭和十九年七月の作。立子はこの句を発表したとき、大バッシングにあった。しかし実際はお粥か何かの上に青菜がのっている程度の食事だった」ということだ。
夏料理において、青菜の涼しさを表現しているのだろう。たしかにこのうだるような暑さの中、青菜の緑のさわやかさはいい。ふと思う。青菜を買ってきて、今晩にでも味わいたい。