思い出!
小さいころ、よく漫画を読んでいた。10歳のころ、兄が骨折して入院していたのを見舞いに行って、ちょっと出てくると言って、『少年マガジン』創刊号を買いに行っていたことを今も覚えている。
それから小学校6年生まで、漫画をよく読んだ。鉄腕アトムとか、エイトマンとか。
だが、ぼくは早く大人になりたかった。それで、12歳の時、これからは小説を読むんだと決めた。買った本は獅子文六の「てんやわんや」。難し過ぎた。なかなか意味が理解できないまま何ねんもかけて読み続けた。中三の時、ようやく読み終えた。
それまでの間、漫画も読んでいた。そして、「てんやわんや」を読み終えた時、ぼくは決めた。漫画は終わりだ。漫画は子供のものだ。今日からは小説を読もうと決めた。それから読み始めたのは純文学からは、三島由紀夫や阿部公房の小説、SF小説からアイザック・アシモフやフィリップ・K・ディックのサスペンスやSFだった。
高校時代は昼休みの間、みんなが昼飯を食べている間、いつも小説を読んでいた。友達からは「何だおまえ!SFか!デカルトを読めよ」と言われたこともある。だが、物理学をやっていた兄からは「アイザック・アシモフを読んでいるとはすごい!」と言われた。なぜなら、アイザック・アシモフは兄の学問の世界ではすごい人なのだそうだ。
そう、あのころ、ロボット三原則も知った。いろいろな意味で、ぼくは成長を目指した。漫画の世界はとっくにさよならしていた。ところが、ぼくが漫画を離れていた間に漫画は日本文化の中心になっていた。ぼくは高校時代の間に漫画が大嫌いになっていたのに、世界は違っていた。ぼくは時代の流れと逆行していたようだ。