いつも散歩している道の並木をよくよく眺めると、
モミジバフウの木の根っこのところが空洞になっている。
台風でも来たら、倒れそうな気がする。
年輪を重ねた木々は美しい。
それなりに美しい。
それが末期を迎えたということだろうか。
人と同じだ。
美しい年輪を重ねた末に末期を迎える。
それでいいじゃないかと思えるようになった。
かつて、義父が亡くなる前の生き様が、
経験の上に咲いた花のように見えたことがある。
花と言うよりは渋みを増した美しい植物のように感じた。
戦争や災害にあって亡くなる人もいる。
それでも生きている人は必ず老いる。
老いをどのように迎えるかがとても重要な気がしている。
空洞の中にも命の貴重な歴史がある。
空洞のような生き様を見せる人にも貴重な人生がある。