ハチ公像前
ハチ公像の前で人を待っている。
いくつかのビルの壁面にはめ込まれたディスプレーが二、三あって、それぞれが目まぐるしく映像を映し出し、目を引きつける。
それぞれが大音響で何か叫んでいる。CMだ。だが、交錯し、もはや雑音でしかない音響は環境破壊にほかならない。
ハチ公像の前をいろいろな顔の人が通り過ぎる。いろいろな外国語が聞こえる。ネクタイした男性、ミニスカートの女性、汚れた服を着た人、仮装した人、人人人。
映像と音響と国と人と言葉が雑然と工作する場所に佇み、ぼくはいったいどこに、いるのか不安になる。