とおいさくら
なかなか近づけないけど、
あそこに桜が咲いている。
そんなことってよくある。
なかなか近づけないけど、
近くにすごい美人がいる。
そんなことってよくある。
毒林檎と言われたマドンナ!
過去の人を思い出させる、
通りの向こうの届かない桜。
届かなかったは数多い。
届いたら普通のただの女。
そんな妄想に生きた少年。
もう二度と戻りたくない。
男も女もなく、みな夢を見る。
誰もが幻想の中の主人公だ。
ベルオーズの幻想交響曲を
聞きながら、
週末の眠りにつきたいと思う。
幻想は原創でしかない。
幻想は楽しいものであり、決して
人に危害を加えないものであるはずだ。
桜の咲くのを待ちわびる
咲いたらすぐに散る桜、
そんなひと時の夢を見ること。
それこそが生きがいなのだろう。
人は有限な生を生きている。
幻想も含めた人生を生きている。