日々是好日 - Seize the Day

煩悩だらけで無力で、罪深い人間の戯言です。

我唯知足

十代のころ、京都の竜安寺で下のような「手水鉢(ちょうずばち)」だったか「つくばい」を見た。





 五
矢▢隹
 止


はじめは何と読むのかわからなかったが、何と「吾唯知足」という中国語で、訓読みすると、「吾(われ)唯(ただ)足(た)るを知る」と読み、欲張るのはいけない、今ある幸せで満足しなければならないということだと知った。


名誉や利益というものは誰もがほしいもの、だがこれを追い求めればきりがない。部長になれば社長になりたくなる。1億円あれば、2億円ほしくなる。そういうことを求めずに、今の地位、財産を十分に喜んで満足すべきだ。


わたしの収入は贅沢はできず、何とか生活できる程度だ。それでいいのだ。わたしは妻と別れ、今、年老いた母と暮らしている。体の弱った母を幸せにすることに専念している。


愛や恋にはもう飽きた。豪邸も要らない。今必要なのは、最低限の幸せだ。デパートへ十年来行ったことがない。うそだ、デパートの入り口に入って、椅子に座り、雰囲気を味わっては出ていく。買い物はしない。いつもスーパーの特売を利用する。


例えば、肉は百グラム百円以下のものしか買わない。酒は好きだが、1リットル千円以下のものしか飲まない。


おいしい店があるといっても、外食するのは、人ととの付き合いのときだけ、仮に外食するとしたら1食5百円前後のものしか食べない。


年収は200万円以下だが、これで十分だ。年収何十億円ももらっている人たち、あるいは数百万円もらっている人たちとくらべたら、なんだか劣等感を感じることもない。彼らは彼らなりの生活をすればいい、今は少しずつ貯金しながら、つつましく生活する、そして親孝行できれば、最高の幸せだ。


「吾唯知足」これこそ、わが人生の最大の教訓だ。

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