昭和の人間!
ぼくは小さいころ、漫画を読んでいた。
15歳のころ、ぼくは子供を卒業した。
それまで読んでいた漫画をすべて断ち切って、文庫本を読み始めた。
玩具や縫いぐるみといった子供っぽいものからさよならした。
そして、アイザック・アシモフ、フレドリック・ブラウン等を読み始めた。
だが、そんなぼくが友達から馬鹿にされた。
お前、デカルトを読めよと。
そんな時代のトンネルをくぐって
たどり着いた現代はどうなってるんだろう。
ぜんぜん違う世界だ。
40代のころ、大好きだった森鴎外の「舞姫」を漫画にしたものを友人に勧められた。
読んでみたら、自分が小説で想像したものが破壊されてしまった。
あれは漫画にすべきではない。
時代が変わったのだ。
ぼくが15歳のころに思った大人の世界は過去のものになった。
ぼくが15歳のころに嫌った子供っぽいものは今や大人のものになった。
ぼくが15歳のころに憧れた大人っぽいものは隅っこに追いやられているのだ。
これが現代なのだ。
これが時代の推移というものなのだと実感する。
ぼくは昭和の人間なのだとつくづく感じる。